Barbara Keith “Barbara Keith”

グリニッジ・ヴィレッジ出身のフィメール・フォーク・シンガーが70年代に入ってリリースしたスワンプ作、という点ではカレン・ドルトン「イン・マイ・オウン・タイム」と双璧を成すバーバラ・キースのセカンド。ただしカレンはウッドストックへ、バーバラは西海岸へ。

ディラン「見張塔からずっと」のカバー(A1)が有名だが、ぼくはやはりB1の「デトロイト・オア・バファロー」を推したい。去っていった恋人を思う少し勝ち気な歌詞、シンプルなメロディ故にミュージシャン陣の演奏が冴え渡る。特にリー・スカラーのベースラインはさすがの仕事ぶり。後半からにわかに盛り上がるローウェル・ジョージとスニーキー・ピートの対決も見ものだ。

アルバム全体を見渡すと、ジム・ゴードン、ジム・ケルトナー、クレイグ・ダーギー、スプーナー・オールダムといった、まさしくオールスターキャスト。美しきバーバラの歌声が力強く演奏陣をリードしている。

バーバラ・キースは2枚のアルバムを残して表舞台を去ってしまったが、2000年代に「ストーン・コヨーテズ」というファミリー・グループを結成している(との噂)。真偽の程は怖くて確認していないが…兎にも角にも、70年代フォーク・ロックの大名盤です!

追伸。
ぼくがこのアルバムを知ったのは、鈴木カツさん著の「モア・フォーキー」がきっかけでした。ついぞお会いすることは叶わなかったけど、アメリカのルーツミュージックの深い森へと誘ってくれた恩人です。氏の冥福を祈ります。一ファンとして、これからもカツさんの文章をずっと携えていきたいと思います。

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